
![]()



『小十(こじゅう)』の料理は、素材の持つ風味が生かされ、力強さに溢れています。
味も見た目も、印象はくっきり鮮やか。
「こだわっていることといえば、とにかく季節感を大切にしていること、それから生命力の強い、旨みに溢れた素材を使っていることでしょうか」と主人の奥田さん。
現代の生活で失われている季節感を、食べることで取り戻し、おいしいと同時に元気になれる料理を提供したいというのが、奥田さんの願いです。
「おいしさと過ごした時間の楽しさを人にも伝えたい、今度は家族や友と共有したい……、お客様が自然にそんな気持ちになる料理であり、店でありたいと思っています」。


春の献立から…平貝春菜尽くし(写真上)、焼き物盛り合わせ(サワラと筍の木の芽焼き/黒毛和牛の炭火焼き・写真下)。

料理人の立場から、奥田さんは「エコ」をどうとらえていらっしゃるのでしょうか? 訊ねると開口一番、「素材が命の日本料理を作る者にとって、エコは身近な問題です」。料理は味覚を楽しませるものであると同時に、身体の中でエネルギーを生み出してくれるもの。野菜でも魚でも、食材はその食材のもつエネルギーが強いほどおいしく感じます。そして、エネルギーの強い食材が育つには、何より自然環境が大切です。
生き物が眠りから目覚める春には、内臓の働きを高める苦みやえぐみのある植物が芽吹き、夏には身体の熱を鎮める作用がある瓜がおいしくなり、秋の豊かな実りを蓄えると冬が来ます。「自然のサイクルは本当によくできていて、まさに天の配剤です」と奥田さん。そのサイクルに従って四季折々のエネルギーの高い素材を食べることが、舌にも身体にもいちばんおいしい。奥田さんが作り出す美味の数々も、日本の豊かな自然あってのものなのです。

写真協力(筍):アマナイメージズ

日航ホテルの裏手にある店は、ひっそりとした佇まい。
カウンター6席、テーブル席(個室)最大14名までという小さな規模で、料理にも接客にも隅々にまで目配りが行き届きます。
店名の「小十」は、奥田さんが敬愛する唐津の陶芸作家、西岡小十氏からいただいたもの。
料理にも小十氏をはじめ、現代作家の素晴らしい器が使われています。
