今回ご紹介するのはその国の文化やスタイルにこだわるホテルとして定評のあるコンラッド東京。汐留の浜離宮庭園を見下ろす28階に位置する「日本料理 風花」で、腕をふるわれているのが齋藤料理長。コンラッド東京のめざす日本料理を、料理長自身どのようにお考えなのか、そして、気になる世界での日本料理の人気についても伺ってみました。
「食は文化です」と言い切る齋藤氏。「だから日本料理の中に、文化が見えなければならないと考えています。他の国がスパイスを使うことが文化だったら、日本は、みそ、しょうゆ、酢などの発酵調味料が食文化の基本で、これらを使いこなしてこそ、日本料理は広がります。他の国の調味料を使えば、もっと違ったおいしさを作れるかもしれませんが、『果たして作っていいのか』と思っています」と国産にこだわる含蓄のあるお言葉。
「今、グローバルになってどこへ行くにも短時間で行けるようになり、料理の世界は何でもあり。だからこそ、気をつけなければならないこともあります。どこへ行っても同じでは、無国籍になってしまいます。何でもよい、何でもいいでは日本料理も無くなってしまいます。それは日本料理だけでなく、全ての料理がなくなることを意味します」と齋藤氏。そう、特にコンラッド東京のように外国のお客様が多ければ、なおのことだそうです。
「文化は土地に根付いてこそですから、そういったことを思うとやはりアイデンティティーが大事です。そして、その土地独自の日本料理があるべきだと僕は思います。日本に郷土料理があるように、あるいは日本のフランス料理が日本で花開いているように、その土地にあったニューヨークやソウル、上海の日本料理があってもいいと思っています。ただ、調味料だけは最低限本物にこだわりたいですね。」
「僕が目指しているのは、安心して食べられる料理です。見た瞬間、食べた瞬間、びっくりするような驚きはないけど、『繰り返し食べてもらって、いい!』と思えるものを提供したいと考えています。やはりお客様には長く来ていただきたいですから」なるほどリピーターが多いというのもうなずけます。
器と調和した美しい盛り付けには驚かされます。やはり包丁の技が光っています。そして献立も。ごはんとすり流しで始まるちょっと他にはないオシャレな“禅スタイル”組み立てが新鮮な印象です。今月は鮎の解禁。鮎の炭火焼きはやはり絶品です。お腹におさまる気持ち良さが、こだわりの素材と調味料から味わえます。スペシャルな日には特別なスタイルでお料理も楽しみたいですね。
取材:2007年6月

